医学部の志望理由書の合格できる書き方を実際に合格した先輩の例文を分析しながら解説します。志望理由書の書き方から医学部の志望理由書の合格者の例文、書き出しの例から合格できる構成も紹介。書き始めから書き終わりまでの考え方をわかりやすく解説します。
医学部志望の志望理由書~5つの設問への回答が最も重要
医学部の志望理由書は、単なる作文ではありません。 面接官があなたの人物像を判断するための最も重要な書類の一つです。 医学部入試では一般選抜や推薦型選抜を問わず、ほぼすべての大学で志望理由書の提出が求められます。
志望理由書が合否を左右する理由はシンプルです。 面接官はこの書類を手元に置きながら面接を進めるため、志望理由書の内容がそのまま面接の質問材料になります。 つまり、志望理由書の出来が面接全体の流れと印象を決めるのです。
では、合格する志望理由書とそうでない志望理由書の違いはどこにあるのでしょうか。 それは5つの設問に対してどれだけ深く自分なりの回答を準備できているかにかかっています。 多くの受験生がいきなり文章を書き始めてしまいますが、それでは説得力のある志望理由書にはなりません。
この記事では、医学部の志望理由書を完成させるために必要な5つの設問を紹介します。 それぞれの設問に対して自分の考えを深掘りし、回答をまとめていくことで、誰でも合格レベルの志望理由書を書くことができるようになります。 実際の合格者の実例も交えながら、具体的なプロセスを解説していきます。
5つの設問とは、大学で学びたいこと、卒業後のビジョン、これまでの行動実績、医療関連ニュースへの分析、そして志望大学の研究者と研究内容です。 この5つの回答を先に準備することで、志望理由書全体に一貫性が生まれ、面接でも自信を持って受け答えできるようになります。 それでは、一つずつ詳しく見ていきます。
医学部向け設問1 大学で学びたいことへの具体的な答え方~医療現場での経験から
なぜこの設問が最も重要なのか
5つの設問の中で最も重要なのが、大学で学びたいことについての回答です。 この設問への回答が志望理由書の核となる部分であり、面接でも最初に深掘りされるポイントになります。 多くの受験生がここで抽象的な回答をしてしまい、他の受験生との差別化ができなくなっています。
大学で学びたいことを明確にするためには、まず自分がなぜ医師を目指すようになったのかという原点に立ち返る必要があります。 医師を志望するきっかけは人それぞれですが、大切なのはそのきっかけを具体的なエピソードとして語れることです。 幼少期に自分が病気になった経験、家族の闘病を目の当たりにした経験、医師である親の姿を見てきた経験など、自分だけのストーリーを掘り下げてください。
具体的なきっかけの深掘り方
医師を目指すきっかけとしてよく挙がるのは、自分や家族の病気の体験、医師との出会い、あるいは医療に関するドキュメンタリーや本との出会いなどです。 ただし、きっかけを述べるだけでは不十分です。 そのきっかけからどのように考えが深まり、医学部で何を学びたいという具体的な目標に繋がったのかを説明する必要があります。
例えば、祖父の闘病がきっかけであれば、そこから自分がどのような医学分野に関心を持ったのかまで掘り下げます。 がんの治療過程を見て腫瘍内科に興味を持ったのか、緩和ケアの重要性を感じて終末期医療に関心を持ったのか、具体的な方向性まで考えることが大切です。 このように自分の経験と学びたい分野を結びつけることで、説得力のある回答が生まれます。
大学で学びたいことの具体的な書き方
学びたいことを書く際には、基礎医学から臨床医学までの幅広い分野の中で、特にどの領域に関心があるのかを明示します。 さらに、その関心がなぜ生まれたのかを自分の体験と結びつけて説明することで、あなたにしか書けない内容になります。 加えて、医療倫理やコミュニケーション能力の習得など、医師として必要な素養を大学で身につけたいという姿勢も示すと良いです。
回答の目安としては570字程度で書けるようにまとめておくと、多くの大学の志望理由書に対応できます。 書く際には、きっかけとなるエピソードに200字程度、そこから生まれた医学への関心に200字程度、具体的に学びたい分野と理由に170字程度という配分を意識してみてください。 この配分はあくまで目安ですが、構成を考える際の参考になります。
医学部向け設問2 卒業後のビジョン~医師としての10年後をどう描くか
10年後の自分を具体的に描く理由
志望理由書において将来のビジョンを書くことは、大学側に自分が明確な目標を持った受験生であることを伝えるために欠かせません。 医学部入試が他の学部と異なるのは、卒業後の進路がほぼ医師に限定される点です。 そのため大学側は、受験生が将来どのような医師になりたいのかという具体的なビジョンを持っているかどうかを重視しています。
10年後の姿を描くためには、医師のキャリアパスを理解しておく必要があります。 医学部を卒業してから医師国家試験に合格し、2年間の初期臨床研修を経て、その後専門医としての道を歩むことになります。 10年後とはつまり、専門医としてのキャリアが始まって数年が経った頃の自分の姿です。
ビジョンを書く際のポイント
将来のビジョンを書く際に気をつけたいのは、単に診療科名を挙げるだけで終わらないことです。 どのような診療科のどのような領域で、どのような患者さんのために働きたいのかまで具体的に書く必要があります。 そして、そのビジョンが設問1で述べた学びたいことと矛盾なく繋がっていることが重要です。
例えば、放射線医学に関心があると設問1で述べたのであれば、10年後には放射線科の専門医として被爆者の健康管理や放射線障害の治療に携わりたいというように、一貫した流れを作ります。 さらに、臨床だけでなく研究や教育、あるいは国際的な医療支援活動にも視野を広げると、より深みのあるビジョンになります。 400字程度でまとめることを目安に、具体的かつ現実的な内容を心がけてください。
注意すべき点
将来のビジョンを書く際に避けたいのは、あまりにも壮大すぎる夢を語ることです。 ノーベル賞を目指すとか、世界中の病気を根絶するといった内容は、現実性に欠ける印象を与えてしまいます。 地に足のついた、しかし志の高いビジョンを語ることが大切です。
もう一つ注意したいのは、志望する大学のアドミッションポリシーとビジョンがずれていないかということです。 例えば地域医療に力を入れている大学に対して国際的な活動ばかりを強調すると、なぜこの大学なのかという疑問を持たれてしまいます。 大学の特色と自分のビジョンが自然に結びつくように調整してください。
医学部向け設問3 関連する行動実績~医療体験、読んだ本、参加した活動
行動実績がなぜ重要なのか
志望理由書において、これまでの行動実績を示すことは、あなたの医学への関心が口先だけのものではないことを証明する役割を果たします。 医師になりたいと言葉で述べるだけでなく、実際にどのような行動を起こしてきたのかを具体的に示すことで、説得力が格段に高まります。 面接官は多くの受験生の志望理由書に目を通しますが、具体的な行動を伴った志望動機は強く印象に残ります。
行動実績と言っても、何か特別なことをしていなければならないわけではありません。 医療に関する本を読んだこと、病院見学に参加したこと、ボランティア活動に取り組んだこと、医療関連のドキュメンタリーを視聴したことなど、日常的にできることで十分です。 大切なのは、その行動からどのような学びを得て、医師になりたいという思いがどのように深まったのかを言語化できることです。
読んだ本について書く場合
医療に関する本を読んだことを行動実績として書く場合は、単に本のタイトルと著者名を挙げるだけでは不十分です。 その本のどのような内容に心を動かされたのか、そしてその読書体験が自分の医学への関心をどのように深めたのかまで書く必要があります。 面接でも必ずその本の内容について質問されるため、しっかり読み込んでおくことが前提です。
医学部志望の受験生におすすめの書籍としては、医療ノンフィクションや医療倫理に関する本が挙げられます。 例えば医師の仕事や患者との関わりを描いたルポルタージュ、公衆衛生や感染症の歴史に関する本などは、医学への関心を深める良いきっかけになります。 読んだ本は1冊だけでなく複数冊挙げられると、幅広い関心を持っていることが伝わります。
ボランティアや見学体験について書く場合
病院見学やボランティア活動について書く場合も同様に、参加したという事実だけでなく、そこで何を感じ、何を学んだのかが重要です。 介護施設でのボランティアを通じて高齢者の身体的な衰えだけでなく心理的な不安にも寄り添うことの大切さを学んだ、というように、体験から得た気づきを具体的に書きます。 行動実績は400字程度でまとめることを目安に、2つから3つの実績を挙げると内容が充実します。
医学部向け設問4 医療関連ニュースへの分析~今年のニュースから医学への理解を深める
医療ニュースを取り上げる意義
医療関連のニュースについて自分の分析を述べることは、社会に対する関心と医学的な思考力をアピールするために重要です。 医師は単に患者を治療するだけでなく、社会全体の健康に対して責任を持つ存在です。 そのため、医療を取り巻く社会問題に対して自分なりの考えを持っていることが求められます。
ニュースを選ぶ際には、できるだけ直近のものを選ぶことが大切です。 古いニュースを取り上げると、普段から医療に関するニュースに関心を持っていないという印象を与えかねません。 また、自分の志望する分野や将来のビジョンと関連するニュースを選ぶと、志望理由書全体に一貫性が生まれます。
ニュースの分析の仕方
ニュースを取り上げる際には、まずそのニュースの概要を簡潔に述べ、次に自分がなぜそのニュースに関心を持ったのかを説明します。 そして最も重要なのは、そのニュースを通じて自分がどのような学びを得たのか、あるいは医学や医療に対する考え方がどのように変わったのかを述べることです。 単なる感想ではなく、医学的な視点からの考察を含めることで、面接官に好印象を与えることができます。
例えば新しい治療法の開発に関するニュースであれば、その治療法がどのような患者さんにとって希望になるのか、まだどのような課題が残されているのかといった多角的な分析を加えます。 あるいは医療政策に関するニュースであれば、その政策が現場の医療従事者や患者にどのような影響を与えるのかを考察します。 自分の意見を述べる際には、感情的にならず、科学的根拠に基づいた冷静な議論ができる姿勢を示すことが大切です。
取り上げるニュースの選び方
取り上げるニュースは、自分の関心分野と結びつくものが理想的です。 感染症対策、再生医療の進歩、高齢化社会における医療課題、医療従事者の働き方改革、AI技術の医療への応用など、テーマは幅広くあります。 どのテーマを選ぶにしても、自分なりの視点で分析できていることが重要です。
ニュースを選ぶ際に避けたいのは、政治的に偏った立場を強く打ち出すことです。 医療に関するニュースには政治的な側面が絡むことも多いですが、志望理由書では科学的な視点から客観的に論じることを心がけてください。 400字程度を目安に、ニュースの概要、関心を持った理由、自分なりの分析という構成でまとめると書きやすいです。
医学部向け設問5 医学部の研究者と研究内容~教授の研究をどう調べるか
志望大学の研究者を調べる理由
志望大学の教授や研究者の研究内容を調べることは、その大学でなければならない理由を具体的に示すために必要不可欠です。 どの大学でも当てはまるような志望理由では説得力に欠けます。 その大学ならではの教育や研究の特色を具体的に示すことで、入学への強い意志を伝えることができます。
志望大学の教授の研究内容に言及する場合は、その教授の名前、専門分野、代表的な研究成果を調べておく必要があります。 大学の公式ウェブサイトには教員紹介のページがあり、各教授の研究テーマや業績が掲載されています。 さらに、その教授の著書や講演、メディアでの発言なども調べることで、より深い理解を示すことができます。
効果的な調べ方
教授の研究内容を調べる方法としては、まず志望大学の医学部のウェブサイトで各研究室や診療科の紹介ページを確認することから始めます。 次に、その教授の名前で検索して、論文や著書、インタビュー記事などを探します。 可能であればオープンキャンパスや大学の公開講座に参加して、実際に教授の話を聞く機会を作ることも効果的です。
調べた内容を志望理由書に書く際には、単に教授の研究内容を紹介するだけでなく、なぜその研究に関心を持ったのかを自分の体験と結びつけて説明します。 例えば、テレビのドキュメンタリー番組で再生医療の可能性を知り、そこから自分で調べていく中でその教授の研究に出会った、というような出会いのストーリーがあると自然です。 そしてその教授のもとで学ぶことが、自分の将来のビジョンを実現するために最善の道であるという結論に繋げます。
注意すべきこと
教授の研究内容について書く際に注意したいのは、専門用語を理解していないまま使ってしまうことです。 面接でその内容について質問されたときに答えられないと、付け焼き刃の知識であることが露呈してしまいます。 自分が理解できる範囲で正確に書くことが大切です。
また、特定の教授の名前を挙げる場合は、その教授が退職していないか、研究室が存在しているかなど、最新の情報を確認しておく必要があります。 情報が古いと準備不足の印象を与えてしまいます。 400字程度を目安に、調べた内容と自分の関心を結びつけた文章をまとめてください。
医学部志望の合格者実例~実際の合格者からの学び
合格者の志望理由書から学べること
ここでは実際に医学部に合格した受験生の志望理由書を参考に、5つの設問への回答がどのように構成されているかを見ていきます。 合格者の実例を読むことで、具体的にどの程度の内容の深さが求められるのかが分かります。 ただし、あくまで参考として読み、自分の経験や考えに基づいた独自の内容を書くことが大前提です。
以下に紹介するのは、広島出身の受験生が医学部に合格した際の5つの設問への回答例です。 この受験生は被爆4世という自分だけの背景を軸に、すべての設問への回答に一貫性を持たせています。 自分にしかない経験を志望理由の核に据えている点が、この合格者の強みです。
合格者の大学で学びたいことの回答
この合格者は、広島で育ち被爆者の方々の話を聞いてきた経験から、命の尊さについて深く考え続けてきたという導入で書き始めています。 被爆建物を実際に訪れて原爆の凄惨さを目の当たりにした経験、そして中学3年生の夏に被爆者医療に携わる医師の講演を聞いた経験が、医師を目指す直接のきっかけとして描かれています。 さらに、放射線医学や公衆衛生学への関心、国際保健の視点、医療倫理やコミュニケーション能力の習得といった具体的な学びたい内容まで言及されています。
注目すべきは、きっかけのエピソードが非常に具体的であるという点です。 旧広島陸軍被服支廠倉庫で爆風により変形した鉄扉を見た経験など、読み手の心に残る具体的な描写が含まれています。 このように五感に訴える具体的なエピソードを盛り込むことで、面接官の記憶に残る志望理由書になるのです。
合格者の10年後のビジョン
この合格者は10年後のビジョンとして、放射線医学や被爆者医療の分野で医師として働くことを挙げています。 医師国家試験への合格、初期臨床研修、放射線科もしくは内科の専門医取得という具体的なキャリアパスが示されており、現実性のあるビジョンとなっています。 さらに被爆者の高齢化に伴う課題や、広島の知見を国際的に応用する展望にまで触れている点が評価されるポイントです。
合格者の5つの設問への回答分析~医療への思いをいかに具体化したか
行動実績の分析
合格者の行動実績を見ると、医師の講演への参加、広島赤十字・原爆病院の見学、医療関連書籍の読書、介護施設でのボランティア、被爆体験伝承者養成事業の講座への参加と、多岐にわたる活動が挙げられています。 特に注目すべきは、それぞれの活動から得た学びが具体的に書かれている点です。 単に活動に参加したという事実だけでなく、そこから何を感じ、医師になりたいという思いがどのように深まったのかが明確に述べられています。
読んだ本についても、タイトルと著者名を挙げるだけでなく、その本のどのような内容に心を動かされたのかが書かれています。 被爆者たちの苦悩と医師たちの献身が描かれた作品を読んだことで、医療に携わることへの意欲がさらに高まったという記述は、読書体験が医師志望の動機と直結していることを示しています。 複数の本を読んでいることも、医学への関心の幅広さを示す効果があります。
ニュース分析の分析
合格者が取り上げたニュースは、福島第一原子力発電所の処理水海洋放出に関するものです。 このニュース選択が優れているのは、自分の関心分野である放射線医学と直結している点です。 科学的な安全性と政治的な判断の乖離について考察し、医療従事者として科学的根拠に基づいた情報発信が重要であるという結論に繋げています。
さらに、広島で被爆者医療の歴史を学んできた自分にとって放射線に関する風評被害は他人事ではないという一文が、自分の背景とニュースを見事に結びつけています。 感情的な議論ではなく科学的なデータに基づいた冷静な議論が医師には求められるという主張も、医師としての資質を示す上で効果的です。 このように、選んだニュースと自分の志望動機が自然に繋がるテーマを選ぶことが大切です。
研究者調査の分析
合格者は志望大学の教授として再生医療の分野で世界的に知られる研究者を挙げ、その研究内容との出会いの経緯を丁寧に書いています。 高校2年生のときにテレビのドキュメンタリー番組で再生医療に関心を持ち、自分で調べていく中でその教授の研究に出会ったという流れは、自然で説得力があります。 教授の著書や講演録を通じて研究内容を学んだという記述からは、主体的に情報を収集する姿勢が伝わります。
5つの設問すべてを通じて言えることは、一貫性のある回答が最も重要だということです。 この合格者の場合、広島で被爆4世として育った経験を軸に、学びたいこと、将来のビジョン、行動実績、ニュース分析、研究者調査のすべてが有機的に繋がっています。 この一貫性こそが、面接官に強い印象を与え、合格を勝ち取る志望理由書の最大のポイントなのです。
医学部の志望理由書テンプレート~5つの回答をどう統合するか
テンプレートの基本構成
5つの設問への回答がすべて揃ったら、いよいよそれらを一つの志望理由書として統合していきます。 800字程度の志望理由書を書く場合、基本的な構成は次のようになります。 冒頭の200字程度で医師を目指すきっかけと学びたいことを述べ、次の200字程度で卒業後のビジョンを描き、次の200字から300字程度でその大学を志望する具体的な理由を述べ、最後の50字から100字程度でまとめの一文を書きます。
この構成はあくまで目安であり、大学によって求められる字数や設問内容が異なるため、柔軟に調整する必要があります。 200字程度の短い志望理由を求められる場合は、大学志望の理由を中心に、医師を目指す動機を簡潔にまとめます。 1000字以上の長い志望理由書の場合は、行動実績やニュース分析の内容も盛り込むことで、より充実した内容にすることができます。
5つの回答を統合する際のポイント
5つの回答を統合する際に最も重要なのは、全体を通じた一貫性です。 設問1で述べた学びたいことと、設問2で述べた将来のビジョンが矛盾していてはいけません。 設問3の行動実績が設問1や設問2の内容を裏付けるものになっていることも大切です。
また、設問4のニュース分析と設問5の研究者調査が、あなたの医学への関心の幅広さと深さを示す役割を果たしていることを意識してください。 5つの回答がバラバラの方向を向いていると、どれだけ個々の内容が良くても全体としての説得力が弱くなります。 自分の中で一本の太い軸を決め、その軸に沿ってすべての回答を構成することが成功の鍵です。
大学ごとのカスタマイズ
複数の大学を受験する場合、志望理由書はそれぞれの大学に合わせてカスタマイズする必要があります。 特に設問5の研究者調査は大学ごとに異なる内容を書くことになりますし、設問2のビジョンも大学のアドミッションポリシーに合わせて調整が必要です。 5つの設問への回答をベースにしておけば、大学ごとのカスタマイズも効率的に行うことができます。
大学のアドミッションポリシーやディプロマポリシーは必ず確認してください。 例えば地域医療に力を入れている大学であれば、地域の医療に貢献したいという意志を前面に出す必要がありますし、研究重視の大学であれば研究への意欲を強調する必要があります。 志望理由書は大学へのラブレターのようなものですから、相手が何を求めているのかを理解した上で書くことが大切です。
医学部志望の書き出し~5つの回答のうちどのエピソードから始めるか
書き出しが重要な理由
志望理由書の書き出しは、面接官の第一印象を決める極めて重要な部分です。 面接官は多くの受験生の志望理由書に目を通すため、最初の数行で読み手の興味を引くことができるかどうかが勝負です。 ありきたりな書き出しでは、その先を読み進めてもらえない可能性もあります。
書き出しには、5つの設問への回答の中から最もインパクトのあるエピソードを選びます。 多くの場合、設問1の医師を目指すきっかけとなったエピソードが書き出しに最適ですが、設問3の行動実績の中に強いエピソードがあれば、そちらを冒頭に持ってくることもできます。 大切なのは、読み手がその先を読みたくなるような具体的で印象的な導入を作ることです。
効果的な書き出しのパターン
効果的な書き出しの一つ目は、具体的な場面描写から始めるパターンです。 自分が医師を目指すきっかけとなった瞬間を、まるでその場にいるかのように描写することで、読み手を一気に引き込むことができます。 例えば病院で特定の場面を目撃した瞬間や、ある出来事に遭遇した瞬間から書き始めるのです。
二つ目は、自分の結論を先に述べるパターンです。 自分がどのような医師になりたいのか、あるいはなぜ医学部を志望するのかという結論を冒頭で明確に示し、その理由を後から説明していく方法です。 このパターンは論理的な構成になりやすく、読みやすい文章になるというメリットがあります。
避けたい書き出し
避けたい書き出しとしては、抽象的な一般論から始めるものが挙げられます。 医療は人々の命を守る崇高な仕事です、といった誰でも書けるような内容では、あなたの個性が伝わりません。 また、小学生の頃から医師になりたいと思っていました、という書き出しも多くの受験生が使うため、差別化が難しくなります。
書き出しで最も大切なのは、自分にしか書けない内容であることです。 あなただけが持っている経験や視点を冒頭に持ってくることで、面接官の記憶に残る志望理由書になります。 書き出しに悩んだら、5つの設問への回答を見返して、最も自分らしいエピソードはどれかを考えてみてください。
医学部志望の本文の書き方~複数の回答を有機的に繋ぐ技法
文章全体の流れを作る
書き出しが決まったら、次は本文全体の流れを作っていきます。 5つの設問への回答を単純に順番に並べるだけでは、箇条書きのような印象を与えてしまいます。 それぞれの回答を自然な接続詞や文脈で繋ぎ、一つのストーリーとして読めるようにすることが重要です。
文章の流れを作る際には、過去から現在、そして未来への時系列を意識すると書きやすくなります。 きっかけとなった過去の経験から始まり、それに基づいて取り組んできた行動実績を述べ、現在の関心事であるニュース分析に触れ、将来のビジョンへと繋げるという流れです。 この流れの中に、志望大学の研究者や教育内容への言及を自然に組み込みます。
段落間の繋ぎ方
段落と段落の間をスムーズに繋ぐためには、前の段落の最後の内容を受けて次の段落を始めるという技法が効果的です。 例えば、医師を目指すきっかけを述べた段落の最後に、この経験から放射線医学に関心を持つようになったと書き、次の段落で具体的にどのような行動を起こしたのかを述べるといった繋ぎ方です。 このようにすることで、読み手は文章の流れを自然に追うことができます。
一文は短く簡潔にすることも読みやすさのポイントです。 一文が長くなりすぎると、読み手が内容を理解しづらくなってしまいます。 一文は40字から60字程度を目安にし、伝えたいことを明確に区切りながら書いていくと良いです。
まとめの書き方
志望理由書の最後のまとめでは、改めてその大学で学びたいという強い意志を示します。 ここまでに述べてきた医師志望の理由、将来のビジョン、大学の研究内容への関心を簡潔に振り返り、だからこそこの大学でなければならないという結論で締めくくります。 まとめは50字から100字程度の短い文章で十分ですが、熱意が伝わる力強い一文で終わることが大切です。
書き上げた志望理由書は必ず第三者に読んでもらい、添削を受けてください。 自分では気づかない論理の飛躍や、不自然な表現を指摘してもらうことで、完成度が大きく向上します。 学校の先生や塾の講師、あるいは家族に読んでもらい、最低でも2回以上は推敲を重ねることをおすすめします。
医学部のNG志望理由書と改善~5つの回答の質が低い例
NG例1 きっかけが抽象的すぎる場合
最もよくあるNG例は、医師を目指すきっかけが抽象的で具体性に欠けるパターンです。 人の役に立ちたいから医師になりたい、命を救いたいから医学部を志望する、といった内容は多くの受験生が書くため、まったく差別化ができません。 改善するためには、自分だけの具体的なエピソードを掘り下げ、なぜ他の職業ではなく医師でなければならないのかを明確にする必要があります。
また、医学に興味を持ったから志望した、という理由だけでは動機として弱いです。 なぜ医学なのか、どのような領域に関心があるのか、その関心はどのような経験から生まれたのかまで深掘りすることが求められます。 きっかけのエピソードは志望理由書の土台となる部分ですので、ここに最も時間をかけて準備してください。
NG例2 将来のビジョンが曖昧な場合
将来のビジョンが曖昧なのもよくあるNG例です。 立派な医師になりたい、患者さんに信頼される医師になりたい、といった内容では具体性に欠けます。 どのような診療科で、どのような患者さんのために、どのような形で医療に携わりたいのかを具体的に書く必要があります。
改善するためには、医師のキャリアパスについて調べ、10年後の自分の姿をできるだけリアルにイメージすることです。 実際に医師として働いている方の話を聞いたり、医療現場のドキュメンタリーを見たりすることで、具体的なビジョンが描けるようになります。 ビジョンが具体的であるほど、面接官はあなたの本気度を感じ取ることができます。
NG例3 大学の志望理由が表面的な場合
偏差値が高いから、学費が安いから、家から近いから、という理由は志望理由書に書くべきではありません。 どの大学にも当てはまるような一般的な理由も避けるべきです。 例えばカリキュラムが充実している、臨床実習が豊富である、といった理由は多くの大学に当てはまるため、説得力が弱くなります。
改善するためには、志望大学のウェブサイトを徹底的に調べ、その大学にしかない特色を見つけることです。 特定の教授の研究内容、独自のカリキュラム、大学病院の特色ある診療科など、その大学だけの強みを見つけ出し、それが自分の将来のビジョンとどう結びつくのかを明確に示す必要があります。 これが設問5の研究者調査が重要である理由でもあります。
NG例4 行動実績がない場合
行動実績が何もないという受験生もいるかもしれませんが、今からでも遅くありません。 医療に関する本を読む、医療関連のニュースに日常的に目を通す、オープンキャンパスに参加する、ボランティア活動に取り組むなど、今日からできることはたくさんあります。 大切なのは、その行動から得た学びを自分の言葉で語れるようにしておくことです。
NG例5 嘘や誇張が含まれている場合
志望理由書に嘘を書くことは絶対に避けてください。 面接でその内容について質問されたときに答えられなくなるだけでなく、嘘が露呈した場合は不合格になる可能性が高いです。 話を少し膨らませたり、伝え方を工夫したりすることは問題ありませんが、あくまで面接で自信を持って答えられる範囲にとどめておくことが鉄則です。
誤字脱字にも十分注意してください。 面接官は多くの志望理由書に目を通すため、誤字脱字は非常に目立ちます。 書き上げた後は必ず見直しを行い、できれば第三者にもチェックしてもらうことで、完成度の高い志望理由書を提出しましょう。
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